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教えて!着床障害

着床障害・着床不全と不妊についてのかかわり

妊娠しにくい状態を【不妊症】と言いますが、その不妊症の中でも【着床障害・着床不全】と言われる症状が近年、不妊に悩むカップルに増加しています。
子宮内になんらかの原因があり、受精卵が着床しない状態を指します。

この着床障害・着床不全の特徴としては、受精卵は無事に子宮まで運ばれるのですが、その後がなかなか着床しにくいという点があげられます。

特徴として多いのは、男性の精子数も問題がなく、女性の卵子もしっかりと成熟しているにも関わらず、受精卵が着床してくれない・・・。

例え着床したとしても早期流産してしまったり、着床状態が継続出来ない・・・という場合に【着床障害・着床不全】の可能性があります。

着床障害による不妊の原因と治療について

着床障害・着床不全が起こる原因としては、日常の食生活や添加物の摂取・環境ホルモンなどの影響によるホルモンバランスの乱れや、子宮内膜症の悪化・癒着・血液循環機能の低下などが原因で着床しにくいケースなど、さまざまな原因があげられます。

しかし、はっきりとした原因は現在の医療でも未だに特定されていないのが現状です。
ここでは、着床障害の原因に主に結びつくと思われる症状をいくつかご紹介します。

【黄体機能不全】

排卵後のホルモンのひとつにプロゲステロンというという黄体ホルモンがあります。
このホルモンは、子宮内膜を妊娠可能な状態にするためにかかせないホルモンであり、排卵前の状態と比べると、30倍近く分泌されます。
しかし、黄体機能不全などによりホルモンの分泌やバランスなどが悪くなると、子宮内膜が厚くならずに、受精卵が着床しにくい状態となり、妊娠に至らない場合があります。
黄体機能不全の診断基準
  • 基礎体温で高温期が10日以内である場合。
  • 黄体期中期のプロゲステロン値が10ng/ml以下の場合。
  • 子宮内膜日付診で2日以上のずれがある場合。
黄体機能不全の治療
  • 排卵誘発剤の服用
  • プロゲステロンの補充
  • 黄体を刺激する
  • プロラクチン値を下げる
  • 高アンドロゲン血症の治療
  • 甲状腺機能の治療

【子宮内膜の癒着】

これは、性病であるクラジミアに感染したり、人工中絶、出産時の帝王切開などの原因により、子宮内膜が癒着を起こしてしまい、着床障害になってしまうケースです。
この他にも、月経の時に血が逆流して起こる場合も考えられます。
卵管や卵巣などの妊娠に関係する器官で子宮内膜の癒着が出来てしまった場合、受精卵の着床障害が発生してしまい、妊娠に至らないケースも考えられます。

【子宮筋腫】

良性の筋腫が子宮の筋層や内部に出来ている事を言います。この子宮筋腫が全て着床障害に結びつく訳ではなく、不妊の原因となるかどうかは、主に筋腫が出来た場所や大きさによって左右されます。
子宮の内腔に突き出すように出来たり、(粘膜下筋腫)、大きな筋腫が出来てしまって卵管を圧迫している場合は妊娠がしずらい状況になってきます。
また、子宮筋腫があるからといって、すべて治療しなければいけないわけではなく、経過観察の場合も多いのですが、子宮を圧迫していて不妊の原因になっている場合や、筋腫の大きさが著しい場合には、薬物療法や手術などの治療を行って妊娠へと促す方法が多いようです。

【子宮奇形】

これは、子宮が胎児形成期にうまく作られなかった場合などに起こると言われています。子宮の形が変形していたり、子宮が2つあったりするような場合では、子宮内自体が狭くなってしまうため受精卵が着床しにくくなり、不妊や流産・着床障害の原因になる場合があります。もし、子宮奇形でうまく妊娠できた場合は、産婦人科の指導にしたがって安静にしているのが一番です。
【子宮奇形の種類】
単角子宮
子宮が十分に発育していない場合は妊娠・出産が難しい場合も考えられます。
弓状子宮
不妊原因に関係があるにもかかわらず、発見されにくいので要注意です。
双角子宮
タイプとしては最も多い症状です。
手術をする場合もありますが、このまま妊娠できるケースも多いです。
中隔子宮
不育症に多いタイプ。早期流産・早産を引き起こしやすいので、中隔を取り除く手術も可能です。
重複子宮
一般的に手術は行わず、状態の良い方の子宮で体外受精を試みることがあります。

【子宮内膜炎】

大腸菌や淋菌などの病原菌が子宮に入り込んでしまい、子宮内膜に炎症が起こる病気です。受精卵は子宮内膜に着床するので、内膜に炎症があると着床が妨げられ、着床障害の原因となります。

【子宮内膜ポリープ】

粘膜から発生したイボの事を総称してポリープと言います。ポリープの大きさとしては、1cmくらいから10cmを超える場合もあります。
この子宮内ポリープのほとんどは良性の腫瘍で、子宮内膜癌などに悪化することはまずありませんが、また、この子宮内膜は、受精卵が着床して育つ大切なベッドですので、子宮内膜ポリープが出来た場合や数、大きさによっては受精卵が着床しづらい・・・などの着床障害となり、不妊の大きな原因となってしまいます。
また、ポリープは、子宮鏡ですぐに発見出来ますので、その場で処置する事もあります。治療法としては、腫瘍をねじりとったり、ポリープの数が多い場合には子宮内膜をこそぎとったりして治療します。ポリープが大きい場合などは、電気メスでポリープを切除する子宮鏡下手術などを行います。